個人が金を売却すれば
消費税分が利益に

 次に、金を売買したときの「消費税」の扱いについて確認しておこう。個人が販売事業者から金を購入する際、国内のあらゆる商取引と同様、買い手側は金の価格に消費税を上乗せした購入金額を売り手側に支払う。では、個人が買い取り事業者に金を売却した際はどうなるのか。この場合ももちろん、売り手側である個人は、消費税分を上乗せした売却金額を受け取ることができる。

 ただし、消費税は、負担するのは買い手側だが納税の義務を負うのは法人や課税事業者(*5)である個人事業主だ。つまり、個人に消費税の納税義務はないので、売却時に得た消費税分の金額は……そのまま利益にすることができる。

 例えば、19年10月以前に消費税率8%で金を購入した人でも、現時点で売却するとしたら、10%の消費税を乗せた金額を受け取ることができる。つまり、仮に金の価格が購入時と売却時で同じであっても、消費税2%分に相当する金額が売る側の利益となる。金は、個人が“消費税で得をする”数少ない金融商品でもあるのだ。

*5 消費税の納税義務がある事業者(課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円超)