(4)能登半島地震の場合、自治体の準備があまりにお粗末でした。各自治体に自己申告で災害準備を任せるのではなく、専門家が巡回して徹底点検を行うと同時に、能登のような地形の場所への支援として、豪華客船・ホテルなどの緊急借り上げ契約を結び、まずは避難所の快適化を実現すべきです。
また仮設住宅についても、建設速度と居住性を持った新型仮設住宅の開発が急がれます。今は3Dプリンタでも住宅を建てられる時代です。すでに民間に色々なアイデアがあるはずで、早くそうした新しい発想の住宅を量産できる契約を民間と結び、生産体制を補強しておくべきです。
(5)とはいえ、こうした施策を実行できる政治家が今の日本にいるとは思えません。台湾の震災対応で活躍したオードリー・タン氏を招聘するなど、外国人も含めた在野のキーパーソンの登用も考え、清新な頭脳を活用して最先端の復興策を考えるべきです。
(6)マイナンバーカードは9月中に全国民の取得が義務となっていますが、マイナ保険証など、操作が複雑になりミスが起こりやすい作業はすべて中止し、今は有事の際の給付金配布のスピード化に機能を絞るべきです。
「災害時には自衛隊」だけではもう済まない
改善していない企業の「備え」に不安も
(7)南海トラフ地震で想定されるほどの規模の被害が出ると、国防に不安が生じます。北朝鮮のゲリラ攻撃や原発テロ、中国やロシアのサイバーテロなど、自衛隊が対応すべきことはあまりにもたくさんあり、「災害が起きれば自衛隊派遣」という思考だけでは無理が出ます。自衛隊は約22万7843人で、これだけではすべての対応を賄えません。
そこで、全国に約26万1000人いる警察官、約16万5438人いる消防隊員を中心に、平時からボランティアを募って組織化し、訓練や自衛隊なみの自立型応援部隊を新設すべきです。これに参加すれば学校の授業の単位に充足されるなどの政策をとることで、学生のボランティア参加も期待できます。
(8)企業、学校の備蓄その他の総点検も必要です。東日本大震災のときに露呈しましたが、政府のガイドラインに沿った食糧備蓄や毛布などの準備ができていない企業が目立ちました。これを総点検すると共に、資金不足で準備できない企業には行政による資金の貸与といった支援も必要でしょう。