「投資に向かない人」
3つのパターン

 この体験は、投資に向く人と向かない人を見分けるリトマス試験紙になったのではないかと思う。大きく相場が下がった時に、自分のメンタルがどう反応するかを知ることができたはずだから。

 筆者は、全国民が右へ倣えで投資をしなくてはならないとは思っていない。なぜなら、投資で利益を出すのは決して簡単ではないからだ。

 相場は投資家にはいかんともしがたい要因で簡単に動く。為替も絡めば、予測できない新型コロナや国際紛争も起きるし、中の人すら知らなかった企業の不祥事が発覚したりもする。どんなアナリストでも、予測をぴったり当てることなどできないのだ。

 だからこそ、年初の「みんながやっているオトクなNISAを、あなたはやらないなんて」的熱狂には違和感を抱いていた。何が何だかわからないままに、その空気に押されて始めた人もいるだろうからだ。特にこんな人は注意したほうがいいという、3つのパターンを挙げてみたい。

(1) 人の言うことを鵜呑みにして疑わない人

「老後の資産を2000万円作るには預金では無理、長期で積立投資をしなくてはだめ」「投資は値動きがあるが、長期・分散・積立方式ならリスクが減らせる」「NISAは国が推しているオトクな制度です」――NISA界隈にはこんなキャッチフレーズが飛び交っている。

 誰もが同じようなことを聞いたはずだ。投資は難しそうだからよくわからない。でも、みんながNISAがいいと言っているからと、素直にSNSの「お勧め」を聞き、「ポイントがたまるカード積立がオトク」と聞くとそれに従い、積立銘柄も「オルカン一択でしょう」との周囲の声のままに選ぶ。こうした人は、きっと少なくないのではと思う。

 現在は、専門家たちの「積立投資はやめてはいけない。歴史を振り返れば、リーマンショック後も積み立てを続けた結果、損をカバーするどころか大きな資産を得られたという例がたくさん見つかる。だから、淡々と続けよう」の声を聴き、そうかと思っているに違いない。新NISAで投資デビューした人は、周囲の話を疑わない素直な人たちが多いだろう。