「どんな金融商品に投資しているか」
最低限の理解は持ちたい
周囲の言葉が間違っていると言いたいのではない。ただ「今やっている投資は、自分で判断して決めたのか?」という問いに、きちんと胸を張れる姿勢は持ってほしい。
積立している金額は自分で設定したはずだが、家計にとって適正な額なのか、周囲にあわせようと背伸びしてはいないか。この先に大きな○○ショックが起きて資産が半減しても困らない金額だと言い切れるのか。「誰かがそう言っていたから」ではなく、自分のお金の責任は自分が持つ意識がない人は、いざという時の判断ができなくなる。
せめて自分が投資している投資信託はどんなものなのか、どの点が有望なのか、値動きに大きな影響がある国(企業)の割合は、為替は関係あるのかないのか。これら最低限のことは理解しておきたい。
ましてや「政府に騙された」なんて言葉は使うべきではない。しかし結構そういう声もあるようだ。人のせいにしたい人は、ますます投資はやめたほうがいい。
(2) 絶対に損したくない人、特にプレシニア層
「長期・分散・積立方式なら、価格変動リスクを軽減できます」という言葉を都合よく解釈している人は要注意だ。長期・分散・積立なら右肩上がりに順調に資産が増えるわけではない。
積立で定額購入していくドルコスト平均法は、安い時は多く買え、高い時は少なく買うので、投資額が平準化され、トータルで見ると投資した金額を上回るリターンを得られるとの説明だ。ただし、相場がどう動くかは誰にも予言できない。大きな暴落ショックが来ると、さすがに「長期・分散・積立」しても、一時的には大きくマイナスを被るだろう。
しかし、この世には自分の資産が減ることに耐えられない人もいる。そういう人に「長期で見れば相場は回復し、またそのうち上昇するよ」と言っても、響かないかもしれない。特に、まとまった退職金を増やそうと意気込んでいるプレシニアにとっては大ごとだ。
長期というけど、それは自分が70歳のことか、それとも80歳以降まで待てというのかと気になって仕方なくなる――大事な老後のお金が減ってしまうというストレスを抱えたくないなら、そういう人は元本保証の高金利定期を探すか、円高が関係ない個人向け国債や社債を買うか、減らさない安心を優先したほうがいいだろう。