バブル絶頂期に制定された
中長期経営ビジョン
JR東日本が「生活総合サービス企業」を目標にかかげたのはバブル期までさかのぼる。国鉄民営化と同時に訪れたバブル景気で鉄道利用は急増した。JR東日本の在来線輸送量(人キロ)は、2018年度に更新されるまで定期利用は1996年度、定期外利用は1993年度がピークだった。
そんな中、バブル絶頂期の1990年10月に制定された同社初となる中長期経営ビジョンが「Future 21」だった。当時の「グループ企業」は現代と基準が異なるため単純比較はできないが、本体と生活サービス関連グループ企業の営業収益を2001年に1対1、それぞれ2.7兆円とする意欲的な目標を掲げた。
バブル期を象徴する幻の計画が、1988年に計画決定した「上野再開発プロジェクト」だ。当時日本一となる高さ304mの地下5階、地上67階、延べ床面積約26万平米の超高層ビルを建設する構想で、直営百貨店、ハイグレードホテル、展望台、美術館などを備える複合施設になる予定だった。
ルミネに代表される駅ビル事業の再編・拡大と、新業態アトレの展開が寄与し、非運輸業は1990年度から1994年度の4年間で、連結営業収益は約3542億円から約6101億円に、連結営業利益は約141億円から194億円に増加した。