インテリアは極めてシンプル。デジタル化しながらも温かみを感じる空間だ。ドライバー正面にメーターパネルはなく、ヘッドアップディスプレイとタッチ機能を備えた大きな円形の有機ELセンターディスプレイに情報を表示。ARカーナビをはじめ空調やメディア、電話、各種設定もセンターディスプレイでスマートフォンのように直感的に操作できる。
これまでセンターコンソールにあった、ギアセレクター、パーキングブレーキは、センターディスプレイ下側のトグルスイッチで操作する。おかげでセンター周辺はスッキリとした。
最新MINIは、パッセンジャーをもてなす機能が素晴らしい。乗員を囲むように配された無数の小さな楕円の色や模様を変化させる光のグラフィックとアンビエント・イルミネーションに加えて、“MINIエクスペリエンス・モード”の斬新な表現が楽しめる。一部モードは、新たに作られた“MINI ドライビング・サウンド”とも連携、ライブ感を一段と盛り上げる。
エクスペリエンスの選択肢は7種類。呼称はノーマル/スポーツ/エコなどではない。コア/グリーン/ビビッド/タイムレス/パーソナル/バランス/トレイル/ゴーカートとユニークな点はMINIらしい。
車内はとにかく広い。これまでのクロスオーバーは、MINIとしては余裕があったが、さほどルーミーとはいえなかった。まるでMINIとしての一線を超えないことを意識しているように見受けられた。だがカントリーマンは一気に突き抜けた。
前席は頭上も足元も広々としていて、大柄な人でも狭いと感じさせない。シートのデザインも凝っていて、MINIながらマッサージ機能まで付いている。
後席は、センタートンネルはやや高いが、成人男性2名がくつろいで座れる広さが確保されている。ヒール段差も十分な高さがあり、3分割のリクライニングだけでなく2分割で前後スライドもできる。インナードアハンドルや後席用の空調の吹き出しが縦長デザインというのも目を引く。
荷室も広い。リアシートを最後端までスライドさせても十分すぎるほどで、フロアボード下にも大きなスペースがある。シートを前倒しすると、ほぼフラットなフリースペースが出現。最大容量は1530Lまで拡大する。テールゲートはもちろん電動である。
走りはMINIらしく俊敏で意のまま
引き締まった足回りは快適性にも優れる
走りはなかなか印象的だ。パワートレーンは2L直4ガソリンターボ(204ps/300Nm)と7速DCTの組み合わせ。DCTは発進やシフトチェンジもスムーズで気を使う必要はない。6500rpmからレッド表示のエンジンは、1640kgに達する車体をものともしない。全域で力強く、加速は俊敏である。個人的には、パドルシフトがなくセレクターもマニュアルシフトができない点は少々惜しいと感じた。
ただし、ゴーカートモードを選択すると積極的にシフトダウンして次の加速に備え、アクセルレスポンスも向上する。実際上は不要ということだろうか。ゴーカートモードでは、もともと俊敏なハンドリングが、さらにクイックになるのも楽しい。