そこで、新耐震基準を1とした場合の耐震レベルを、耐震等級において3段階で分けている。耐震等級2は1.25倍(学校や病院などの避難所レベル)、3は1.5倍(消防署や警察署などの防災拠点レベル)となる。熊本地震の際に国土交通省は、木造の建築時期別被害状況を調査し、発表している。この結果は今後の家を建てる際の重要な指針になる。

 まず1981年5月以前、つまり旧耐震時期に建てられた住宅は「倒壊・崩壊(圧死リスクが高い)」が28.2%で、「大破」は17.5%となり、合計で「45.7%」が危険な状態となった。新耐震以降に建てられているものの築16年以上の住宅は「倒壊・崩壊」が8.7%、「大破」は9.7%となり、合計で「18.4%」。築15年以下は「倒壊・崩壊」は2.2%、「大破」は3.8%となり、合計で「6.0%」と割合は減る。これは経年劣化によるリスクの増大を示唆している。木造なので、シロアリ被害や腐食によって新築時よりも劣化してしまっているとみなされる。

木造で家を建てるとき
命を守るために必要な「耐震等級」とは

 また、新耐震でも圧死リスクはゼロにはならないだけでなく、経年劣化に対する対策が必要ということだ。シロアリ対策を防蟻(ぼうぎ)、木材の腐食防止を防腐と言うが、これをしていなければ不安が募るばかりで、新耐震といっても意味がない。

 しかし、耐震等級3(建築基準法の1.5倍レベル)では、サンプルが16棟しかないものの、軽微・小破は2棟にとどまり、無被害14棟だった。圧死リスクがゼロになり、住み続けられる確率が100%だったことを意味する。ちなみに、こうした調査で鉄筋コンクリート造のものは存在しない。

 つまり、木造で家を建てるときは耐震等級3以上のレベルで建てることが、日本のような地震大国では必須要件であることが分かる。こうなると、前述の耐震等級1のタワーマンションは大地震の際にどのような状態になるのだろう?過去の倒壊状況を調べたこともないので、私には想像がつかない。