4.選手の感情制御への対応力の不足

 選手の感情をうまくコントロールできず、試合が荒れてしまう。例えば不必要に多くの警告や退場を出しすぎることで、試合の流れを妨げ、選手の感情を逆撫でする。

 局面の誤審を避けるだけでなく、試合の流れ全体の制御をすることも審判には求められているのである。

 スポーツには、明確なルールがあり、審判は判定のための専門的なトレーニングを受け、試合のコントロールに細心の注意を払う。そのような彼らでさえ、上記のようなミスを起こしてしまうのである。特に重要な試合や大きな大会では、審判自身が緊張やストレスを感じ、その結果、冷静な判断ができなくなることもある。正しく判定し、適切に試合をコントロールすることは本当に難しい。

企業は「誤審だらけ」
ルールはあやふや、審判不在……

 さて、ここまではスポーツにおける審判の話であったが、企業内で起こるファウル(問題行為)についても考えてみたい。問題行為はどのように発見され、判定され、指導されているのだろうか。そもそも正しく判定されているのだろうか――。

 残念ながら、「誤審だらけ」というのが企業のリスクマネジメントに長く関わってきた私の実感である。そもそも論として、企業には問題行為か許容行為かを判定するための明確なルールが存在しないことが多い。

 もちろん法令違反は論外としても、グレーゾーンは多々ある。