理想と現実の乖離が大きすぎた
ホンダ「CR-Z」
2010年2月に発売されたホンダ「CR-Z」は、ハイブリッドスポーツとして誕生したモデルです。かつてのホンダのコンパクトスポーツ「CR-X」にそっくりなワンモーションフォルムに、引き締まったフロントマスクや切りあがったボディサイドのキャラクターラインなど、いかにも“速く走れそうな”デザインを採用していました。
エンジン面に関しては、低回転時に2つの吸気バルブの片方を休止する、1.5Lの「 i-VTECエンジン」を搭載。2.0Lガソリンエンジン並みの加速性能と圧倒的な低速トルク、そして低燃費を実現したと説明していました。
コクピット周りにスイッチを集中したインテリアもスポーツカーにふさわしく、「月販1000台」というスポーツカーとしては高い目標を掲げていました。それもそのはず。当時はトヨタの3代目プリウスのミラクルヒットによってハイブリッド車に注目が集まっていたこともあり、CR-Zはホンダファンからかなり期待されていました。
ですが、いざ発売されてみると、思っていたほどエンジンパワーが感じられず、新世代のハイブリッドスポーツとしてはイマイチだったことが判明。CR-Zはバランスが取れた程よいスポーティカーではあったものの、CR-XとVTECエンジンの良いイメージが強すぎるあまり、ファンの期待値が高くなっていたのでしょう。
その高いハードルを超えられず、ターゲット層からそっぽを向かれてしまったことで、販売はまったく振るいませんでした。
期待されながら日の目をみることができなかったクルマたちも、こうして振り返り、多くの人に思い出してもらうことができれば、少しは浮かばれるというもの。次回の後編でも、引き続きご紹介したいと思います。