「感じの悪い面接官」の特徴を知っていますか?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「感じの悪い面接官」の致命的な特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

面接での致命的な出来事

 いま、サービス業は人手不足で頭を抱えている企業が多いと聞きます。

 しかし、もしかしたら意外なところに人が集まらない理由が潜んでいるのかもしれません。
 今日は、そのことに気づかせてくれた、ある宿泊施設の採用面談のエピソードをご紹介します。

 そのエピソードの主人公は、宿泊業界で豊富なキャリアを持ち、フロント・飲食・客室係など、さまざまなポジションで経験を積んできたAさんです。

 どの宿泊施設でも即戦力として喉から手が出るほど欲しい人材といえるでしょう。
 次なるキャリアを目指し、あらたな宿泊施設の採用面談を受けた際に、「ここは違う」と直感的に感じた出来事があったそうです

 面接当日、Aさんは時間通りに指定された場所に到着しました。

 しかし、迎えたのは、服装の乱れた担当者でした

 さらに、面接の最中も、担当者は周囲の状況に気を取られ、面接に集中する様子がありませんでした。
 心ここにあらずという態度の中、結局、面接は予定よりも早く切り上げられたそうです

 Aさんは、その場で「この施設で働くのはやめよう」と心に決めたと言います。

面接は「お見合い」

 採用担当者は応募者を選ぶ立場にあると同時に、応募者もまた採用担当者の言動を通して、その職場の雰囲気や価値観を見ています。

 さらに、不愉快な経験は他人に伝えたくなるものです
 同業者や友人にその経験を共有し、悪い評判が広がる可能性もあります。
 こうした状況が積み重なることが、優れた人材が集まらない原因の一端を担っているかもしれません。

 採用面接を「お見合い」と例えることがあります。
 人生の一定期間を共に過ごすかもしれない相手に会うためと、朝はやくから準備を整えて出かけたのに、相手はまるで緊張感のない身なりだったとしたら、がっかりするのは当たり前です。

 人材不足で忙しいがゆえに、当たり前のことがつい疎かになってしまったのかもしれません
 忙しいからこそ、一度立ち止まって、あり方をふりかえる機会をもうけてみるのも大事だと気づかされたエピソードでした。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。