コミュニケーションの内容を文字で残す

 先述のように、当事者間でのその場限りの一時記憶で流してしまってよい情報を「フロー情報」と言う。
 一方で、記録しておきたい情報を「ストック情報」と言う。

 個人や組織単位で、その情報はフローなのかストックなのか判断する習慣を身につけよう。
 そしてストックしておきたい情報は、以下のような方法で必ずテキスト化する。

 ・口頭で伝えた(伝えられた)内容を、直後にチャットやメールで書き残して送信する
 ・口頭で交わした内容のうち、ストックすべき情報や知識はドキュメント(マニュアル、手順書、共有された知識集など)に書き残す

生み出された快適さを言葉にする

 さらに、上記の実践で「休みを取れた」「ラクになった」「残業せずに済んだ」などの快感体験を、体験者が率先して発していこう。

「テキストで残しておいたから、引継ぎの手間もかからず休暇を取ることができました!」

「日頃からチャットやドキュメントに情報を残していたから、異動の際の引継ぎがスムーズにいった!」

 組織の行動を変えるには、快適さの言語化の積み重ねが肝要である。

一歩踏みだす!

 ・その情報が「フロー」か「ストック」か判断する
 ・ストックすべき情報は、必ずチャットなどに書き残す
 ・「休みを取れた」「残業せずに済んだ」など快感を共有する

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。