そして9月2日、任天堂は公式サイトに掲載されている「著作物の利用に関するガイドライン」の改訂をおこなった。「任天堂の著作物を利用した不適切だったり転載だったりする投稿を、任天堂は認めない権利を有している」といった文言が加筆され、同月、スプラ界隈で有名な迷惑プレーヤーたちのYouTube配信や動画が任天堂の申し立てにより凍結されたのであった。
古参で一部に人気のあったプレーヤーを含んだ制裁であって、ついに下された運営の鉄槌は界隈になかなかの驚きをもって受け止められた。
何事も光があれば闇があるように、物事は100%キレイなままではいかない。著名な迷惑プレーヤーもダークサイドのプレーヤーたちの受け皿として、いわば“スプラの闇”的に機能していた面は当然あったわけだが、ダークサイドのわりには影響力が強かったから取り締まられた感はある。対戦ゲームの前提をわやにするような迷惑行為や、マッチングした相手のオンライン体験を著しく損なうプレイングが彼らによって発信され、影響を受けやすい低年齢の子どもたちは「そういうことをしてもいいんだ」と良くない方向に学んでいった。
しかし、任天堂は言わずと知れた日本を代表する企業であり、さらに企業の枠を超えたカルチャーを持ち、自社コンテンツの社会的・教育的役割を自認しているはずである。
健全な子どもをダークサイドから守る
任天堂から感じる「決意」
シリーズ最初の『スプラトゥーン』が発売されて以来、動画投稿などを行って『スプラトゥーン』を盛り上げてきたのは大学生や成人のお兄さん・お姉さんたちだが、ターゲットには子どもたちが含まれるし、現在は小・中学生や高校生たちも界隈を大いに盛り上げている。健全な子どもたちも触れるコンテンツが、ダークサイドにまみれたままでいいわけがない――そうした決意が、ついに具体的な形を伴って制裁となって現れたのではあるまいか。
これまで、任天堂に限らずどのゲームを見てもチート行為は即アカウント停止措置がなされたが、「マナー」や「悪質か否か」はbanに至るほどの行為とされてこなかった。だから、任天堂が行った悪質プレーヤーへの取り締まりの実行は、かなり突っ込んだ措置である。今後のゲーム業界の方向性にも影響しうる、大きな一手と言えよう。
ポケットペア訴訟とスプラトゥーン取り締まりは、偶然起きた日が近かっただけかもしれないが、ともに将来を見据えて任天堂から打ち出されたものである。ぜひ業界が、ひいては世界がより楽しく、より心安らかなゲーム体験を提供してくれることを期待していきたい。