「ポケモンパクリ」の事業拡大に
「待った」の動きか

 まず、ポケットペア提訴の件についてもう少し触れておく。任天堂・ポケモン社の提訴がなぜこのタイミングになったのか。これには、ポケットペア社の事業拡大の動きが関係していると見られている。

 今年7月、ポケットペアはソニーミュージックとアニプレックス、3社合同によるジョイントベンチャーとして「株式会社パルワールドエンターテイメント」を設立した。その名の通り、パルワールドのライセンスビジネスを国内外で行う会社であり、つまり「パルワールドのキャラクターを著作物または商標として、その権利を使って商売をしていきます」という構えである。

 ポケットペア社自体はインディーのゲーム会社だが、ポケモンパクリ(と思われるような)ゲームのライセンス事業を大手と組んで大々的にやるなら、任天堂としてもいよいよ待ったをかけざるを得なかったのではないか……というのが専門家らの見立てである。

 なお、何かのキャラが何かに超絶似ていたとしても、著作権侵害はなかなか成立しにくいこともあってか、今回の提訴は「複数の特許権を侵害」として行われている。

”世界最強の法務部”を擁する
任天堂が動いた理由

 任天堂はゲームに関して数多くの特許を有しているが、その特許権を普段あまり行使することはない。その理由は「任天堂がゲーム業界の発展を願っているがゆえに、他社のゲーム開発をなるべく阻害しないようにしている」や「自社ハード(現行ならニンテンドースイッチ)を盛り立ててくれるソフトメーカーとは協力関係なので、多少のことなら積極的に目をつぶる」などと言われていて、国内では任天堂寄りの意見が多い。また、任天堂は普段からインディーズに協力的なので、「その任天堂がインディー会社に対して動くなんてよほどのことだ」という見方もある。

 他方海外では、「特許権を振りかざして他社の自由な開発の邪魔をする任天堂は悪」という意見も散見される。