<保険料が割安になる長期契約(最長5年)となっているか>

<水災補償の見直し>
 ハザードマップなどからマンションの立地に付随する水害リスクを再確認しておく。丘の上など、ある程度高い場所などの水害が想定されていないエリアでは、過度な水災補償は不要になる場合も考えられる。一方、想定以上に水害リスクが大きい立地の場合には、補償内容を手厚くしなければならない可能性も。自分たちのマンションの現状にあった形を再度検討することが大切だ。

<保険約定金額の割合(付保割合)の確認>
 保険契約の対象と同等のものを新たに建てたり、取得したりするために必要な資金を「再調達価額」という。保険約定金額(具体的な保険金額)は、「再調達価格」と「付保割合」を基に計算される。この付保割合とは保険契約において、どの程度の割合を保険金として保障するかを設定する割合にあたる。

 ただ、建物の再調達価額に対してどれくらいの割合で保険をかけるか、という判断はとても難しい。というのもマンションで火災があったとしても、共用部分がすべて燃えてなくなるということはまず考えづらいためだ。いいかえると、全額(100%)の保険が必要なのかを再考しなければならない、ということになる。割合が下がれば、当然保険料も抑えられることにはなる。しかし修繕積立金の蓄えや保険に対する備えの必要性はマンションそれぞれで異なるため、個別の事情を考慮しながら判断することになる。

<個人賠償責任特約の解約を検討>

 マンションの管理組合が加入する保険には、居住者が第三者に与えた損害を包括的に補償する個人賠償責任保険が付保されていることがほとんどだ。しかし区分所有者それぞれが個別に個人賠償責任保険に加入していれば、管理組合が特約をつけるメリットは少なくなる。特約分を外せば、保険料が下げるメリットもある。

 では、個人賠償責任保険はどのようなケースで適応となるのだろうか。例えば給排水管などから水漏れがあり、階下に被害が出た場合、管理組合が加入する保険の個人賠償責任特約によって支払われるケースが一般的だ。逆に特約を外した場合は、居住者それぞれの責任において支払う必要があるのだ。仮に個人で個人賠償責任保険に加入していなかった場合は、多額の修繕コストを負担しなければならなくなる。

 個人賠償責任の特約を外すことは、保険料節約のための有効な手段の一つとなる。ただし、区分所有者が適切な保険に加入し、個人賠償責任を十分にカバーすることの重要性を周知することが前提条件であり、それは管理組合の役割でもある。特約を外す場合は、将来的なトラブルを防ぐ意味で区分所有者への通知はもちろん、売買があったタイミングで次の買い主へ伝えていくなどの配慮を心がけたい。