進むマンション管理の「二極化」
早め早めの対策が不可欠

値上げ(3)金利上昇の影響

 最後の「値上げ」は、皆さんご存じの「金利」上昇について。金利は不動産の売買において、特に住宅ローンに大きな影響を与える要因となる。住宅ローンの条件は、マンションの資産性にも深く関係してくる部分だ。

 マンション管理組合としては資金運用の視点も忘れてはならない。例えば、修繕積立金の代表的な運用方法として「マンションすまい・る債」という債券がある。マンション管理組合が行う修繕積立金の計画的な積み立てをサポートするために発行されている債権で、住宅金融支援機構が国の認可を受けて提供している。

 このように金利の上昇に伴い、利率がアップするなどでプラスの影響を受けるマンションも多く存在する。その一方で、住宅金融支援機構から修繕資金を借り入れる時の金利も上昇しているため、修繕積立金に余裕がなく、借り入れを行って修繕をする必要があるマンションは金利負担が重くなってしまう。

 修繕積立金が潤沢なマンションは金利上昇の恩恵を受け、修繕積立金不足が生じているマンションは金利上昇が負担になるということだ。財政状況が危ういマンションに関しては手をこまねいていると、より深刻な事態となりかねないため、迅速に対策を講じる必要がある。

 先手を打ち、将来の大規模修繕などに向けて修繕積立金の資金運用や保険内容の見直しを実行し、資産価値を高めているマンションと、借り入れを検討せざるを得ないほどの財政状況になっており、各種値上げによって更なる会計のひっ迫が予想されるマンション。まさに二極化の様相を示している昨今、マンション管理組合運営において計画的な準備と早期の対策が求められている。

(株式会社さくら事務所創業者・会長 長嶋 修)

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