奄美大島に現存する3基の無線塔
外壁には多くの弾痕が

 同じ琉球エリアに属するお隣の奄美大島にも、多くの遺構があるので少し触れておきたい。

 奄美空港から西へ向けて少し車を走らせると、やがて畑の中にそそり立つコンクリート製の巨塔がいくつか見えてくる。高さは30メートルほどだが、周囲に高い建物がないためインパクトは絶大。これは無線塔と呼ばれる、無線電話のための送受信施設である。

 現存する3基の塔は、1938年から2年がかりで建造されたもので、戦時中は付近に置かれた通信隊がこれを活用した。

 とりわけ龍合町・赤尾木地区に建つ送信塔の保存状態は良好で、内部まで見学することが可能だ。設備が撤去された今、構造的には単なる煙突のようでしかないが、外壁によく目を凝らせば、多くの弾痕が残っているのがわかる。これほど目立つ施設なのだから、アメリカ軍からすれば格好の標的だったのだろう。

【戦後79年】沖縄に残る数々の防空壕「ガマ」、住民の避難だけではない重要な役割とは奄美大島に3基が現存する無線塔 Photo by S.T.
【戦後79年】沖縄に残る数々の防空壕「ガマ」、住民の避難だけではない重要な役割とは麓の入口部分。コンクリートの壁面には機銃掃射の痕がある Photo by S.T.
【戦後79年】沖縄に残る数々の防空壕「ガマ」、住民の避難だけではない重要な役割とはきれいに保たれた内壁。鉄製のはしごが上まで伸びている Photo by S.T.