見逃せないド迫力のパフォーマンス

由岐神社拝殿中央に通路のあるシンメトリーな造りの由岐神社拝殿。豊臣秀頼により再建された

 葵祭や時代祭は、「都大路を彩る絵巻」のような言葉で形容されることが多く、ゆったり、おっとりとした雅(みやび)なイメージがありますが、鞍馬の火祭は、パワフルで迫力満点。清澄な空気に包まれた静かな山里に、この日一日、祭りの熱気が満ちあふれます。新型コロナ禍以降の世相の変化により、見学できる場所が限られる場合がありますので、ご注意を。

 日が暮れると、剣鉾を携え、大きな松明を手にした里人たちが、「サイレイヤ、サイリョウ」という勇ましい掛け声とともに由岐神社へ続く鞍馬寺山門(仁王門)下の石段に集まります。大松明から煙とともに吹き上がる炎は、夜空を焦がすかのような勢い。

 午後9時を過ぎた頃、里の若者たちが神輿をお迎えするため急峻な石段を勢いよく駆け上がり、「チョッペン」の儀が始まります。ふんどし姿の2人の若者が、足を大きく開いたまま神輿と一緒に石段を滑り降りていくアクロバチックな儀式で、祭りのハイライトです。見物客たちは、落下しやしないかとハラハラ、ドキドキしながら見守り、無事に下りられると拍手・喝采が湧き起こります。

 チョッペンの儀の後は、お神輿が鞍馬の里を巡り、御旅所へ渡御します。沿道の見物客の目の前で松明の火の粉がパチパチッとはじけて舞い上がり、迫力たっぷり! 御旅所に着くと祭りの熱気は最高潮となり、クライマックスへ。終電の時間を逃さないよう気をつけつつ、祭りとの一体感をお楽しみください。