時代行列は動く博物館
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時代祭は、各時代の衣装をまとった約2000人の京都市民が、全長2kmにわたって秋の都大路を華やかに彩る一大ページェントです。一番の見どころは、厳密な時代考証のもと作られた約1万2000点もの衣装や祭具類で、都の歴史とともに育まれてきた伝統工芸の粋を目の当たりにすることができます。祇園祭が「動く美術館」と称されるなら、こちらはさながら「動く博物館」といえそうです。
この時代行列は、東京に都が移る前の明治維新時代から都が開かれた平安時代初期まで、一つ一つ振り返るように時代をさかのぼっていくのが特徴です。当初は6列でしたが、徐々に増えていき、現在は神幸列を含め20列となっています。この祭りの本来の主役は、時代行列ではなく、その後をゆく神輿(みこし)の神幸列。神輿にお乗りになった桓武天皇と孝明天皇の神霊に、現在の京都の繁栄をご覧いただくためのもので、時代行列は神幸列にお供するもの、という意味合いがあります。
明治維新時代の維新勤王隊列から始まり、江戸時代の徳川城使上洛列、江戸時代婦人列、安土桃山時代の織田公上洛列、室町時代の室町洛中風俗列、吉野時代と鎌倉時代を経て、藤原時代の藤原公卿参朝列、延暦時代の神幸列、弓箭(きゅうせん)組列へと続きます。坂本龍馬、羽柴(豊臣)秀吉、織田信長、大河ドラマ『光る君へ』で注目の紫式部や清少納言など、京都にゆかりの深い歴史上の偉人たちの姿を各列に探してください。
平安神宮の氏子は京都市民。全員が平安講社に入ります。行列に参加するお役のため積み立てが行われ、各時代列の割り当ても学区ごとに決まっています。例えば、維新勤王隊列は朱雀学区(中京区)の第8社区域が担っているように。この列はどこの住民が担当しているのか、というマニアックな鑑賞法もあるわけです。
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