現代は生活上のリスクが「10~20代の『人生前半』に始まる」とし、「人生前半の社会保障」の重要性を説いたのは、京都大学 人間・環境学研究科の広井良典教授です。彼は、教育世界一とも言われるフィンランドの元議員イルッカ・タイパレ氏の著書を引用し、「福祉社会と(国際)競争力は互いにパートナー」関係にあり、無料の学校教育等によってもたらされる市民のしあわせと社会の安定は“特許のないイノベーションである”と述べました(10年「イミダス」集英社、4月9日掲載)。
まさに若者への教育支援こそが、未来の国際競争力にも繋がるイノベーションの源泉でしょう。いまこそ、人生前半の社会保障を「投資」と捉え直す時期ではないでしょうか。
一方で、私は40代後半で大学院に通い、MBAを取得しました。「リスキリング(職業能力の再開発、再教育)」の拡充、あるいは学歴偏重や新卒一括採用の見直しなど、経済苦にある20代が必ずしも「大卒」「院卒」にこだわらなくて済む、そして30~40代になっても学び直しできる社会の実現を目指すことも、非常に重要だと思います。