誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!

【精神科医が教える】いつも幸せそうな人、いつも満たされない人の決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

人生で大切なこと

今朝、ぼんやりと考えていて、ふと「人生で大切なことって、実は変わらないんだな」と感じたんです。

振り返ると、自分が「幸せだな」と思う瞬間は、いつも同じようなものなんですよね。

それは、大切な人と一緒に過ごす、なにげない日常の中にあります。大切な人というのは、親だったりパートナーだったり友人だったり、そういった人のことです。

毎日の繰り返しに幸せを感じる

毎朝、「おはよう」と言って、朝ごはんを食べて、歯を磨いて、仕事に向かう。そんななにげない日々の繰り返しの中にこそ、幸せを感じることです。

たまに、ささやかなお出かけなんかがあって、近くのショッピングモールに行ったり、本屋さんに立ち寄ったり、「このお店、よさそうだから行ってみようか」なんて言って、ちょっとした外食を楽しんだりして、サクッと帰ってくる。その後、家で映画を見たりして……。

よく考えてみると、こうした繰り返しの日常は、昔からさほど変わっていないんです。

平凡な毎日こそ幸せ

子どもの頃や学生の頃も同じように、大切な人との日常を繰り返しながら、週末になると、親にどこかに連れて行ってもらったり、自分が誰かを連れて行ったりする。

平凡かもしれないけれど、そんな平凡さの中に幸せがあるんだなと、あるとき気づきました。

いまもその生活は変わりません。近くのショッピングモールや本屋さん、スポーツジムに通いながら繰り返される日々。ジムには20歳くらいからずっと通っていますが、こうした変わり映えしない日常が続いているからこそ、幸せを感じられるんです。

幸せの根本はずっと同じ

もちろん、仕事や趣味、ライフステージによって、状況や周りの環境は変わることがあります。

会議をしていたり、サッカーをしていたり、結婚をしたりするけれど、幸せの根本的な構成要素は、実はそんなに変わっていないんです。

見た目や状況が変わっても、自分にとって何が大事かということ、その核心部分はずっと同じなんですよね。

自分にとって一番大事なもの

「新しいことに挑戦してみたい」とか「大きな変化が必要だ」と感じることもあります。

まるで新しい服に着替えるように、人生をリフレッシュしたくなるときがあるけれど、そのときに、コアな部分、つまり自分にとって一番大事なものまで全部変えてしまうと、逆に楽しくなくなることがあるんです。

よかれと思って変化を求めたけれど、何かが満たされない、虚しさを感じることもあります。

幸せの核となる部分は変わらない

いつ、いかなるときも、自分の幸せを構成している最小の要素は何かを、しっかりと考えて、それを忘れないことが大切なんです。

どれだけ周りが変わっても、その核となる部分は変わらない。それを覚えておくことが、人生の中で常に幸せを感じるための秘訣なんだと思います。

明日は精神科の診療がありますが、そんな話を患者さんにもしてみたいと思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。