1990年代にアメリカの経済界で成功を収めた経営者、ダンラップ。彼は、自分の利益を最優先し、部下たちを恐怖で縛り付ける悪徳経営者だった。心理学者の小塩真司氏はカリスマ的リーダーのなかには「ダークな性格」の持ち主も少なくないという。では、現代のカリスマ的リーダーたちにもダークな一面はあるのか?小塩氏が解説する。※本稿は、小塩真司氏『「性格が悪い」とはどういうことか――ダークサイドの心理学』(ちくま新書)の一部を抜粋・編集したものです。
ダークな性格の経営者として
知られるダンラップ
ダークな性格は、人間関係の中でその特徴があらわれてきます。特に、集団や組織の中で特徴が表面化することがあります。
他の人を自分の思い通りに利用する、他の人の気持ちを考えない、いいか悪いかを気にせず自分の思い通りにことを進めようとする、自分の利益を最優先に考えて他の人の負担があっても気にしない……このように、ダークな性格は人間関係でその特徴が如実に表現されます。それは、企業の中でも同じです。
ダークな性格の事例としてよく取り上げられる人物に、アルバート・ジョン・ダンラップがいます。
ダンラップは、1990年代にアメリカの経済界で有名経営者として知られる人物でした。
日本でも会員制の倉庫型巨大スーパーのコストコに行くと、アメリカのスコットというロゴがついたティッシュペーパーやペーパータオルなどを目にするのではないでしょうか。私自身も、少しだけアメリカ合衆国に滞在していた経験があるのですが、比較的安価で量も多いスコット印のトイレットペーパーをよく購入していた記憶があります。