セブン&アイが「コア業種」に 分類されたワケ

 振り返れば8月、サークルKなどコンビニ・小売り事業を手掛けるクシュタールは、セブン&アイに買収を提案した。現時点でクシュタールは友好的な姿勢を崩していない。ただ、状況は微妙に変化しているようだ。9月になると、ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、クシュタールの買収資金調達を支援する用意があると表明した。 カナダ経済の成長を実現するために、クシュタールの買収をサポートする動きが出ているようだ。

 一方、9月にわが国財務省は、セブン&アイを外為法上の「コア業種」(コア業種に属する事業を営んでいる企業)に分類した。外為法は、わが国の安全保障に大切な国内企業に対する外資出資を、事前届け出対象として規制する。

 コア業種は、経済と安全保障の両面で重要性の高い(海外企業の傘下に入るとわが国の経済社会の不安定感などが高まる恐れのある)事業を言う。コア業種は事前届出の対象であり、政府は出資に問題がないか審査する。なお、経営権を取得する場合、コア業種を含むか否かにかかわらず、事前届出は免除されない。政府は、セブン&アイの事業が国民の日常生活の安定を支える社会インフラであると認定したわけだ 。

 その背景には、国内で増加している買い物難民の問題がある。3月に農林水産省が発表した調査(「食品アクセス問題」に関する全国市町村アンケート調査結果)が参考になる。住民の高齢化、地元の小売業の廃業などで、回答した1083市町村のうち971市町村(89.7%)が「住民の食品購入に対策が必要」と答えた。人口規模が小さい自治体ほど、対策は急務だ。

 一部の自治体は、コミュニティーバスなどの移動手段の提供や、移動販売車の導入支援を実施している。しかし、住民が安心して日々の買い物を行うには、いっそうの継続した対応が必要だろう。スーパーやコンビニ事業者が主体となって、移動販売車を運行するよう求める自治体は増加傾向にある。