「学習院女子入学→学習院卒業」
期間限定のお得ルートが人気
学習院女子大の国際文化交流学部が偏差値を維持しているのは、学習院大学と学習院女子大を統合する計画を学校法人学習院が23年に発表し、学習院女子大に入学した後、統合時に転学して学習院大で学位を取るルートが生まれたことが大いに影響している。
学習院女子大の同学部の23年時点における偏差値は56。学習院大の国際系学部である国際社会科学部で69。「GMARCH」(学習院大、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)という首都圏の難関私立大学群にくくられるブランド力で見ても、一般的な大学の格は学習院大が勝るといえよう。
受験難度やブランド力で格上の慶應義塾大学と08年に合併した共立薬科大学のケースを振り返ると、慶應義塾大の薬学部になってから偏差値は上昇した。学習院女子大の国際文化交流学部も同じ道をたどると想定すれば、学習院女子大に入って転学するルートはお得と解釈される。故に24年度入試で志願者が激増したのだ。
統合計画が発表された当時、学校法人学習院の耀英一院長はダイヤモンド編集部のインタビューにこのように応じていた。
「今や男性も育児休暇を取得する時代、男女の役割はほとんど同じ。社会状況が大きく変わってきました。近年、女子大は少子化の影響も受け、学部学科の改編のほか、共学化、募集停止などを決断するようになっています。では学習院女子大にとって最適な選択肢は何か。導き出した答えが『統合』でした。これが教育上と経営上のどちらにとっても齟齬のない、前向きな選択だと判断しました」
女子大の人気が下落したのは、大学そのものの教育や研究のレベルが下がったからではなく、女子学生の共学志向が進んだから――。耀院長が言うように、社会状況の変化、ニーズの変化が助長したのはその通りだろう。
定員を充足できているうちに
統合を決断した
志願者数激増という打ち上げ花火を最後に上げられるのは、タイミングが良かった。多くの女子大が入学定員割れする中で、ギリギリ定員を充足できているうちに統合を決断した。学習院女子大の世間的な評価が下がり切ってからでは、今回のような統合に対し内部から反発が出て成立しなかったかもしれない。
共学と統合する選択について、相手が明確に存在するのは同グループや関係の深い共学の大学がある女子大に限られている。その一つが学習院女子大であり、他にこの選択肢を持つのは同志社女子大、甲南女子大学、西南女学院大学などだ。それ以外の女子大で相手探しが難しければ、自ら共学化するという選択肢がある。