老後、身寄りのない状態で死を迎えたら、どんな問題が生じるだろうか。部屋の荷物の処理や利用しているサービスの停止は誰が行い、遺骨はどこで保管されるのか――。孤立死を迎えた高齢者にまつわるリアルな諸問題とは。※本稿は、沢村香苗『老後ひとり難民』(幻冬舎新書)より一部抜粋・編集したものです。
「老後ひとり難民」が亡くなると
どんな問題が生じるか
「老後ひとり難民」が亡くなる場合に懸念される問題として、多くの人が思いつくのは「孤立死(孤独死)」でしょう。
孤立死とは、誰にも看取られることなくひとりで亡くなり、その死が発見されるまでに時間がかかるケースを指します。
たとえば、ひとり暮らしの高齢者が自宅で亡くなったものの、親族や近所とのつき合いがなかったために、誰にも気づかれずに数日から数週間、場合によってはもっと長い期間にわたって放置されるようなケースです。
遺体が発見されたときには、すでに腐敗が進行していることもあります。このような孤立死は、近年、増加傾向にあります。
もちろん、懸念すべき点は孤立死だけではありません。「老後ひとり難民」が亡くなった場合、死後の手続きを誰が行うのかが問題になります。
体調が悪くなり、病院に運ばれて亡くなれば、発見が遅れて腐敗が進む心配はありません。しかしながら、それでもさまざまな懸念が残ります。
まず考えられるのは、病院や介護施設の費用の精算です。介護施設に入居している場合、入居費が口座引き落としになっているケースであれば問題は生じにくいかもしれませんが、亡くなる直前に病院に搬送されたりすれば、治療や入院にかかった費用の支払いが滞ってしまいます。病院のスタッフは、支払ってくれる人を探すのに苦労するかもしれません。