中華とフレンチのいいとこ取り

炙り鮑ベルロオジエ「炙り鮑」 写真提供:岩間孝志氏

 3軒目は5年前に芦屋から河原町に移転してきた中華とフレンチの融合を楽しめる「VELROSIER (ベルロオジエ)」。近年、『ミシュランガイド京都・大阪』で二つ星を獲得しました。おまかせコースのみで、旬の食材を活かすため毎月内容が変わります。

 冒頭の写真でご紹介したシグネチャー(看板)料理の「フォアグラ最中」も、食通の間では話題になっています。ベースは中華ですが、表現方法がフランス的で、双方の「いいとこどり取り」をしているのが贅沢(ぜいたく)な部分です。人によってはマカロンのようにも感じられるスペシャリテ、近未来的な印象も深く、冒険ともいえる驚きの風味です。

 フォアグラをコンフィに仕上げた後、煮切った紹興酒にじっくり漬けて風味にアクセントをつけ、はっさくの自家製ジャムと共に挟んで最中に包んであります。最中(日)+フォアグラ(仏)+紹興酒(中)という具合に、まさに多国籍なうまみを楽しめます。

 2皿目は「炙り鮑(あわび)」。低温調理による火入れに8時間かけた鮑、やはり低温調理のアスパラガス、雲白肉(うんぱいろう)は豚バラ肉を蒸した物で、乾燥湯葉を揚げた物と一緒に、うまみを封じ込めながら炒めてあります。瓦を模したフランス風の焼きせんべい「胡麻油のチュイル」も添えられています。

 バリエーション豊かなソースも注目です。透明なXO醤、濃色で中華の甘辛ソースの甜醤油(てんじゃんゆ)、白い寝セロリのピューレが、フランス料理の表現方法であるのに、風味は中華の神髄を含ませている感じです。

 名門「ホテル日航大阪」で修業し、その後、「HAJIME」(大阪市西区)の料理を食べて覚醒したオーナーシェフの岩崎祐司さんは、独自の方向性で人気を集めています。

――「京都驚きの料理店7選」、今回は京都フレンチと中華料理のご紹介でした。残り4軒の魚料理、地鶏やジビエ、肉料理(ハンバーグ)、沖縄への敬意惜しみなく旬を味わえるお店については、次回、バリエーション豊かにお届けします。ご期待ください!

VELROSIER(ベルロオジエ)
京都市下京区河原町通四条下ル2丁目稲荷町318-6