日本の夫婦は徹底的に話し合うということに不慣れですから、受験期間の途中で、これまで経験したことがないような価値観のぶつかり合いが生じることもあります。夫婦でギクシャクすると受験どころではなくなりますから、スタート段階での意思統一がとても大事なんです。

 そして、夫婦で役割分担を決めておくことをお薦めします。両親とも受験に熱心すぎると子どもの逃げ場がなくなりますからね。

――「受験にのめり込み過ぎ」の他に「子育ての方針がバラバラ」「それぞれの役割分担が決まっていない」という夫婦は成功しづらいということですね?

 人には向き不向きがあります。ましてや子どもですから、まだ受験に挑むタイミングではない場合があります。子どもを見ずして、無理矢理、中学受験をさせるのがいちばんいけないケースです。やる気があれば、やるんですよ。ですから、本人の意志を確認しながら歩みを進めてほしい。

――それはそうなんですが、子どもって親が「やる気がないならやめなさい!」と言ってもやめないですよね。「じゃあ、やる気を見せなさい!」という不毛な親子バトルが展開されやすいのですが、そういう場合はどうしたらいいですか?

 もしかすると内容が難しすぎて理解できない、あるいは量が多過ぎて時間が足りないということが考えられます。

 やりたい気持ちがあるのに達成感が満たされないと嫌いになるのは無理からぬことです。心身両面から見て、わが子にはオーバーワークになっていないかを冷静に見極めることが大事ですね。

 それでも、怠けているとしか思えない場合は、ほっとくしかない。本人が私立中学を受験したいのに勉強したくないのであれば、それで受験して、痛い目に遭うのも成長です。

――確かに受験で転ぶことも人生における大きな勉強となりますね。次回は「“偏差値が低い私立より公立”の是非」について伺います。