「上司も部下も、社会人全員が一度は読むべき本」「被害者や加害者にはならないためにもできるだけ多くの人に読んでほしい」と話題沸騰中の本がある。『それ、パワハラですよ?』(著者・梅澤康二/マンガ・若林杏樹)だ。自分はパワハラしない、されないから関係ない、と思っていても、不意打ち的にパワハラに巻き込まれることがある。自分の身を守るためにもぜひ読んでおきたい1冊。今回は特別に本書より一部抜粋・再編集して内容を紹介する。

上司が部下を職場で無視したら、パワハラになる?【令和時代のパワハラ最前線】Photo: Adobe Stock

「仕事で必要なコミュニケーション」を「意図的に」とらなければパワハラになる可能性がある

職場でのコミュニケーションには、「仕事を進める上で必要なコミュニケーション」と、「仕事でとくに必要のないコミュニケーション」の2通りがあります。

まず、仕事で必要なコミュニケーションを意図的にとらない場合、相手が業務を円滑に進めることを害するという点で非常識です。たとえば、

●仕事で必要なメールを何度送信しても返信されない
●担当先からの申し送り事項をいっさい伝えない

このようなことを意図的に繰り返した場合、故意に相手の業務を妨害する行為として、パワハラと評価する余地が多分にあります。

もっとも意図的であるのか、単なる不注意なのかは客観的にはわかりにくいものです。

そのあたりの評価は、慎重に行う必要があることには留意しましょう。

雑談に混ぜてもらえない=パワハラ、ではない?

他方で、たわいもない雑談など、仕事上で必ずしも必要のないコミュニケーションについては慎重な検討が必要でしょう。

なぜなら、職場では、仕事以外のことについてコミュニケーションをとる必要性は必ずしも高くなく、雑談をしない=業務の支障となる、という図式にはならないからです。

そのため、単に雑談に混ぜてもらえないというだけで、違法なパワハラだと評価される可能性はかなり低いと思われます。

「積極的な無視」はパワハラになる可能性も

しかし、積極的に相手を無視しているような場合には、注意が必要です。

●あいさつしているのにいつも露骨に無視する
●職場での飲み会や懇親会について、特定の人だけ呼ばないよう指示する

こうした積極的に職場から排除する行為が繰り返されれば、たとえ仕事とは直接関係がなくとも、相手の職場環境を害する行為として認められる可能性があります。

相手を積極的に孤立化させるような無視を繰り返した場合には、パワハラになる可能性は十分にあるといえるでしょう。