「頑張らなくていい」の末路は
「静かな退廃」
少し前に、働き方改革のあおりで「頑張ること」がタブーのように捉えられ、「海外はもっと休んでる」「お金を稼ぐことが全てじゃない」といった考えが評価される風潮がありました。
そんな中、何か力強いことを言うとパワハラにされてしまうから、次第に何も言えなくなってしまった。そしてふたを開けてみたら、今度は「頑張らなくてもいいじゃん」を肯定する時代になっていた。「頑張らなくてもいい」という考え方は、多様な生き方を肯定しているように聞こえて、ポジティブに思えるかもしれません。しかし、この風潮は、実は不幸になる人も出てしまう考え方だといえます。
「頑張らなくていい」とは、欲しいものを自ら手に入れようとするのを諦めることです。運に任せて、自分の人生をコントロールすることをやめて他者に委ねてしまうのは、果たして幸せなのでしょうか。
へこみがなければ跳ね上がることはありません。失敗なくして成功もありません。「いつか自分に合う仕事があるはず」と、永遠に見つからない宝探しをしているうちに、あっという間に40~50歳になってしまう。気付いたときには、既に「静かな退廃」ともいうべき状態に陥っていることでしょう。
自分で経験していないことを、人の様子を見て分かった気になり、それを基準に「やる意味」を判断する恐ろしさ。SNSやメディアで手軽に他人の人生を垣間見ることができるからこその弊害ともいえます。
自分の意思で決断することがどれだけ大切か。自分の意見や経験を持たないから他者に依存するしかない、けれど、自分が当事者になる勇気もない。静かな退職を正当化して損するのは、他でもない自分なんです。