やはり、それぞれの学校にはそこにしかない校風があります。例えば、明治時代に創設された伝統校である三輪田学園。ここは今大人気で、2年連続で志願者増加数1位の女子校ですが、三者面談のときに成績の話は一切しません。何の話をするかと言えば「その子のいいところ探し」をするんだそうです。

――桐朋女子もいわゆる通信簿というものがないですよね。先生に理由を聞いたら「数字ではその子を計れないから」だそうです。面談も「この教科は今後どうしていく?」という教師と生徒の“作戦会議”という位置付けらしく、高3では、生徒個々人の志望に沿った「オーダーメイド」の時間割で対応していると聞きました。

 本当に様々な学校があります。中高は人生において最も感受性が豊かな時期ですから、学校には「人間性」を育むという大切な役割があるんです。親御さんにはご家庭の価値観を定めたうえで、お子さんにとって居心地の良い学校を選んでいただきたいです。そして、一番重要なことは、子どもの意見を聞きながら進めることです。

「受験校は自分で決めた」という経験を子どもにさせてあげてください。たとえ、不合格であったとしても、もしくは中学入学後に挫折があったとしても、その経験が自分を立ち直らせることに繋がるからです。親御さんは子育てを長いスパンで見るようにしてください。

 中学受験生活が子どもの自立につながる第一歩となるように、温かく支えてあげてほしいと思います。