――ちょっと昔のことですが、地元で「神」の名をほしいままにしていた子が開成に入ったんです。入学後しばらくたってから、その子は地元の公立中学に転校しました。彼曰く「開成は多神教だった。自分は一神教の神として地元に帰る」と言ったそうです。超難関校には「神々の園」という世界があるようです。

 学校は勉強する場所なので、周りが優秀すぎると自分のアイデンティティを失いやすいんです。もちろん、運動や趣味の分野で自信を付けられる何かがあれば話は別ですが、難関校では学力の良しあしがリスペクトの基準になってしまいがちです。

 そういうことを鑑みると、ある程度は子どもがゆとりを持って定期試験に臨むことができて、結果が真ん中よりも上にいられるような学校がいいとは思いますね。 

偏差値50と45に合格
どちらに行くべきか?

――入学してみないと分からないことのほうが実際には数多くあると思うので、判断が難しいですよね。第1志望校ならば迷いようがないですが、例えば、押さえ校で偏差値50と45の学校に両方受かったとして、どちらに行くかで悩むご家庭をたくさん見てきました。

 偏差値は比べられるものなので、単純に言えば50のほうが需要は高いと言えるでしょう。

 ただ、これまでお伝えしてきたように、学校の価値は偏差値だけではありません。それに、偏差値は毎年変わるものです。今、難関校だからといって、10年後にその地位にいるとは限りません。

――先生がおっしゃる「村のような学校」(第2回記事「学校名公開!中学受験のプロが教える「本物のグローバル人材を育てる」中高一貫7校」4ページ目で解説)ですね。確かに10年前の偏差値表と今を比べるとビックリさせられる学校もあります。

 学校は生き物ですから、変化を嫌う学校は偏差値も暴落していきます。最近の親御さんは昔のように「雰囲気がいい」「先生方の話が素晴らしい」というだけでは選びません。わが子と学校とのマッチングとか、わが子の伸びしろとか、色々な面をご家庭ごとに総合的に判断するわけです。