彼女の相談は「どこか介護施設を紹介してほしい」というものだった。また、経済の低迷が続く中、「給与が以前の3分の2にカットされた」と話す。大学受験を控えた子どもを持つ彼女の大変さはひしひしと伝わってくる。
SNSでは「実家からの電話が怖い」「親の転倒による骨折が最大の心配」といった声が溢れている。専門家は「80後、90後(80~90年代生まれの世代)は、これから親の衰えを経験し始め、私生活と親の介護の間でジレンマに陥る」と予測している。
24時間看護体制の病院、介護保険制度など
日本は制度やインフラの面では進んでいるが……
筆者はよく中国の友人から「日本は超高齢社会だが、社会保障が整備されていてうらやましい」と言われる。確かに日本の病院は24時間看護体制を整えているし、高額医療費制度、介護保険制度も整備されている。
そんな日本でも「高齢者はみな幸せ」とは言いがたい。親を施設に預けっぱなしで、年に一度も見舞いに来ない家族がかなりいるのが現状だ。中国人からすると、週に1回は見舞いに行くのが当たり前なので、こうした話を聞くとものすごく薄情に感じてしまう。
中国の高齢化は今後さらに深刻化すると予測される。次世代の介護者はより厳しい状況に直面するだろう。制度やインフラの整備は必須だが、ほとんど進んでいないのが現状だ。逆に日本は、制度はよくても、人間関係の薄さに寂しい思いをしているお年寄りが多いのではないか。日本も中国も、高齢化は止められない。老後はどちらの国で生きるのが幸せなのだろう?と、考え込んでしまうのだ。