緩和傾向の「渋渋」と復調の「青学」
渋谷区には対照的な2校がある。共通点は女子生徒が元気な点だろうか。入試の段階から女子の難度が高く、入学後も男子をリードしている様子がうかがえる。
2024年に43人が東京大学に合格した渋谷教育学園渋谷(渋谷区渋谷)は、名実共に、大学系列ではない共学進学校としては東京トップ、首都圏でも三指に入る存在である。前身の渋谷女子学園から共学化してすでに28年、長らく校長を務めた田村哲夫理事長から娘の高際伊都子校長に代替わりして、新しい道を歩み出している。三つの入試回について見ておこう。
[1日1回]は24年に400人が受験して、実倍率3.6倍(23年3.71倍、22年3.64倍)と高めで安定している。志望者数は1割減なので、25年は3.5倍程度になるかもしれない。併願人気も高い[2日2回] は最多の732人が受験、3.37倍(23年3.56倍、22年3.11倍)とやはり3倍以上を維持している。志望者数は微増なので、25年も変わらないだろう。[5日3回]ともなると、難関・上位校受験生にとっては最後の望みを託す先となってくる。 564人が受けて、実に8.42倍(23年8.73倍、22年8.2倍)の狭き門。志望者数は2割弱減っているので、25年はもしかすると8倍を割るかもしれない。
青山学院(渋谷区渋谷)は中高一貫とはいえ、中等部と高等部は校舎も教員も別々で、一貫感はあまりないかもしれない。浦和と横浜に系属校を設けたことで、系列中高展開は一段落している。2日が定番の入試日だが、25年は2日が安息日の日曜日に当たるため、メソジスト派の青山学院は翌3日に入試日を移動する。慶應義塾中等部や国公立一貫校と同じ日程となるが、その影響はどのように出るのだろうか。
24年は788人が受験して、実倍率3.86倍(23年4.28倍、22年4.02倍)と4倍を割ったのだが、志望者数を見ると2割半も増えている。25年は再び4倍台を回復する可能性が大きそうだ。実際の受験者数の2倍以上もの四模試志望者数がいる学校は、実は珍しい。それだけ人気のブランドということなのだろう。