大変身の「千代田」と“全面高”の「開智日本橋」

 旧制の第一東京市立中学から戦後は都立九段高校となり、学校群の時代には日比谷や三田と同じ第一学区11群だった千代田区立九段中等教育学校(千代田区)は、唯一の区立中高一貫校となった。千代田区民枠「区分A」とそれ以外の都民枠「区分B」で80人ずつ募集するが、24年の実倍率はA2.21倍に対してB5.41倍と大きく異なる。

 千代田区には伝統女子校が数多く集まるが、私立の共学校は千代田女学園が共学化した千代田国際(千代田区四番町)のみだ。4月の新校長就任に伴い、大きな変化が二つあった。一つは、校名から「国際」を外すことで、25年度からは「千代田」になる。なぜ外すのかは後の連載記事で触れたい。もう一つは、入試の内容を一変させたことで、ここでは入試日程での比較となる。

 募集人数は100人で、4科の「研究」が35人、4科・2科・1科の「開発」が65人となる。[1日1回]は25年に「研究」と「開発」両方の募集がある。「教科型1回」と「適性検査型」の合計値で24年実績を見ると、受験者数は39人で実倍率は1.18倍だった。志望者数は3割ほど増えている。24年の[1日午後2回]は82人が受けて1.14倍だったが、志望者数は7.5倍にも増えており、25年も最多受験者数となりそうだ。注目点は、[1日午後研究特待]にどのくらいの受験生が集まるかにある。
 
「研究」の募集は、[2日午後4回] (24年は教科型4回)と[4日午後5回](24年は教科型5回)に行われる。24年は受験者数9人と5人、実倍率1.8倍(23年2.33倍、22年 1.8倍)と1倍(23年・22年共に3倍)と低調だっただけに、期待は大きい。「開発」の募集は、得意選択2科の[2日3回](24年は教科型3回)と国数2科もしくはどちらか1科の[5日6回](24年は思考力型)に行われ、24年は36人と2人が受けて、1.33倍と1倍だった。志望者数は2倍増しているので、25年は上向くことだろう。

 中央区の中高一貫校は、意外なことに開智日本橋学園(中央区)しかない。埼玉や千葉にあるグループ校の状況は以前の記事で触れたが、東京に唯一あるこの学校は国際バカロレア(IB)の認定校という大きな特徴がある。募集定員は130人で、LC(リーディングコース)90人、DLC(デュアルランゲージコース)20人、GLC(グローバル・リーディングコース)20人に分けられる。何回受験しても受験料は同じということもあるのだろうが、各入試回とも結構な受験生が集まっている。志望者数で見る限り、25年入試は“全面高”の様相を呈している。

[1日1回]は24年に 342人が受験して、実倍率2.97倍(23年3.23倍、22年3.48倍)だった。志望者数は2割増なので、25年は3倍台に戻すだろう。[1日午後特待生]は259人が受験、3.28倍(23年3.52倍、22年4.79倍)だった。志望者数は微増なので、25年はいささか受験生が増えるだろう。

[2日午後2回]は 360人受験で6.32倍(23年5.58倍、22年7.54倍)と倍率がぐんと上がる。志望者数は2割半増で、25年は7倍を目指す展開となりそうだ。[3日午後3回]は318人で7.57倍(23年8.26倍、22年10.49倍)、[4日4回]は最多の 416人が受けて10.67倍(23年8.16倍、22年10.14倍)といずれも受かる気があまりしない状況だが、志望者数はそれでも微増と1割増で、25年も2桁倍率を維持することになりそうだ。