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なぜ直感は当たるのか?
今日は「人の直感は当たる」というテーマでお話しします。直感については私自身、人間関係で考えることが多いです。
たとえば、初対面なのに「この人、なんとなく苦手だな」という違和感が芽生えたとき、その直感はだいたい当たっていることが多いんです。
じゃあ、なぜ直感が当たるのでしょうか。まず、初対面で自然と芽生えた感覚というのは、とても純粋なものなんですよね。
相手についてまだ何も知らない純粋無垢な状態だからこそ、偏見や先入観なしに相手を見られます。
直感の正体
もちろん、人によっては初対面の相手に不安感を抱きやすかったり、逆に期待を込めてポジティブに見やすかったりと、多少の個人差はありますが、それでも基本的には色眼鏡をかけずに相手を見ている状態です。
この「何も知らないからこそ見えるもの」というのが、直感の正体なんだと思います。
初対面のときに違和感を感じた場合、その違和感が後々になっても、やはり的中していたということはよくあります。
深く知るにつれて、最初に感じた違和感が「やっぱりそうだったんだ」と確信に変わることが多いわけです。
付き合いが深まると失われること
同様に、初対面で「この人いいな」と思った場合も、後々その人の魅力をさらに発見して、最初の印象がどんどん肯定されることが多いんです。
だから、最初の直感は「情報がない状態で冷静に相手を見ている」からこそ当たりやすいんです。ところが、人間関係が深まってくると、その冷静さがだんだん失われていきます。
相手が自分をよく見せようと取り繕ったり、何か失敗したあとに優しくフォローしてくれたりと、そういう行動を見ているうちに、最初に抱いた違和感が曖昧になってくるんですよね。
1周回って最初の違和感に気づく
さらに、お人好しな人ほど「相手にも事情があるかもしれない」と考えて、つい大目に見てしまうこともあるでしょう。
恋愛関係では、特にそうですよね。恋愛初期には相手を冷静に見られていたのに、関係が深まるとその冷静さを失い、逆に相手がよくわからなくなることもあります。
それでもうまくいっていればいいのですが、もし何か決定的なことが起きたときに「ああ、最初の違和感は正しかったんだ」と気づくこともあるんです。
初対面で受ける直感を大切に
こうした流れを考えると、初対面の直感が当たる理由は明らかです。いちばん冷静に相手を観察できるときだからです。逆に、関係が深まるにつれて、その冷静さはどんどん失われていきます。
直感が当たるのは、何も相手を知らないからこそ本質が見える、という単純な理由に他なりません。
みなさんも、初対面で受ける直感を大切にしてみてください。それが、後々の判断のヒントになるかもしれません。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。