親も老い、自分も年を取り、実家も古くなる。中年期を過ぎると、引退後の生活資金設計など考えることは多くなる。なかでも深刻な悩みが「老朽化した実家の処分」と「老後資金の捻出」だ。実はこの2つはセットで考えれば、解決する可能性があるという。空き家などの不動産投資に詳しい(一社)全国古家再生推進協議会の理事長・大熊重之さんに話を聞いた。
「地方の空き家こそ宝の山。投資にふさわしい」
大熊さんはこう話す。
全国の住宅総数に占める空き家の割合は増える一方だ。総務省によると、2023年10月時点で13.8%と過去最高を記録した。なかでも地方の空き家率は深刻で、徳島県、和歌山県、鹿児島県、山梨県、高知県、長野県は20%を超える。しかしそんな地方の空き家こそ「不動産投資のポテンシャルが高い」と大熊さんはみる。
「地元の人は身近すぎて空き家の魅力に気づいていない。それがもったいない」(大熊さん)
供給の少なさ
どうして空き家に魅力があるのだろうか。
大熊さんによると、第一の魅力は「戸建ての賃貸物件の供給の少なさ」だという。
「マンションに比べて戸建ての賃貸物件の供給は格段に少なく、子育て世帯など『一軒家で暮らしたい』と望む人たちは全国に一定数います」
しかも、地方では戸建ての持ち家率が高く、戸建てを賃貸に出す感覚があまりない。住まなくなった大きな家がそのまま残り、それが空き家問題に繋がっている。