芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、最高に「ととのう」ための入り方を、本書から抜粋して紹介していきます。

休み明けの体が軽い! 正月サウナで肩こり・腰痛ゼロの新習慣Photo: Adobe Stock

肩凝り・腰痛がやわらぐだけでなく、なりにくい体に!

 長時間のデスクワークで肩が凝ったり、腰が痛くなったり、細かいエクセル表を凝視して目が疲れたり。ビジネスパーソンは、脳疲労だけではなく、肉体的な疲労にも襲われます。

 とはいえ、デスクワークの時間を減らすのは難しいのが現実です。特に、エンジニアやウェブデザイナーなどパソコン作業が不可欠の人や、税理士・公認会計士、研究職などの人も、長時間のデスクワークが必須でしょう。

 しかしだからこそ、心身をコンディショニングすることが大事。突然降ってくる仕事は避けられないかもしれませんが、自分の体をコンディショニングすることは、自分の意思で叶えられます。逆に言うと、あなたの体をコンディショニングできるのは、あなただけです。

 その点、サウナは、脳のみならず、実は肉体をコンディショニングすることもできるので、「仕事のパフォーマンスを上げる」にはうってつけです。

 事実、サウナに入ると疲労が取れるという報告があります。

 その理由は、まず、温熱効果によって凝り固まった筋肉がやわらぎ、血流が増加するということ。血流の役割には、熱を運んだり、酸素や栄養を運んだりする以外に、余計なものを回収するという働きもあります。つまり、肉体を疲労させる物質を運び去り、スッキリさせてくれるのです。また、万病の元とされる炎症が減り、活性酸素が減少することも報告されています。

 この二つの研究報告からわかることは、こういうことです。

サウナは、活動によってダメージを受けた組織(この場合、肩や腰)の炎症を取り除いて治癒しやすくする。さらに、抗酸化作用によってダメージを受けにくい体質に変える

 つまり、肩凝りや腰痛がやわらぐだけではなく、肩凝りや腰痛になりにくい体が手に入るということです。

 眼精疲労に関しても、血流が増加して組織が柔らかくなるため、組織のダメージを緩和させる効果があると考えられます。ただし、眼精疲労を回復させたい場合、湿度が低いドライサウナだと角膜表面が乾燥するため、あまりよくありません。湿度が高いウェットサウナを利用するようにしましょう。

 これらの効果は、入浴によっても得られると思うかもしれません。たしかに、入浴でも肉体的疲労を緩和することはできますが、サウナのほうがより一層高い効果を得られます。

 それは、サウナの「極限の状態」が関係しています。

極限状態のサウナだからこそ、疲労がスッキリ回復する

 サウナに入ると、心臓がドキドキしてきて心拍数が通常の2倍程度まで上がります。心拍数が上がるということは、血液を送り出す心臓のポンプ機能が上がって血流が増えるということ。ある調査によると、サウナに入ることで心臓のポンプ機能は70%程度上昇することが報告されています。それにより、筋肉への血流が増加し、疲労物質が強力に押し流されて、筋肉疲労が回復します。だから、サウナに入ると体がスッキリ軽くなるのです。

 また、心臓のポンプ機能の上昇は、水風呂に入った後もしばらく続きます。それと同時に、水風呂につかることで、皮膚表面の血管が瞬時に収縮します。すると、体の末端の血液が一時的に体の中心部分に集まることとなり、深部血流が増加します。脳も深部血流なので、増加した深部血流によって、脳の代謝物質も回収されます。この効果も、脳のスッキリした感覚「ととのう」に寄与していると考えられます。

*本記事は、「医者が教えるサウナの教科書」から、抜粋・編集したものです。