「あなたは人生というゲームのルールを知っていますか?」――そう語るのは、人気著者の山口周さん。20年以上コンサルティング業界に身を置き、そこで企業に対して使ってきた経営戦略を、意識的に自身の人生にも応用してきました。その内容をまとめたのが、『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』「仕事ばかりでプライベートが悲惨な状態…」「40代で中年の危機にぶつかった…」「自分には欠点だらけで自分に自信が持てない…」こうした人生のさまざまな問題に「経営学」で合理的に答えを出す、まったく新しい生き方の本です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集します。

【地頭は関係ない?】「人生の修羅場」で本当に強い人に共通する習慣・ベスト1Photo: Adobe Stock

「地頭がいい人にはかなわない」は単なる先入観

 これは海外と日本で比較して感じることなのですが、どうも日本には「生まれつきの才能やセンスを持っているヤツにはかなわない」という先入観が根強い気がします。いわゆる「地頭信奉」などはその典型といえますが、「地頭」などという奇妙な概念は英語には存在しません。

 こういうところに「生まれ」や「血統」で人を区分したがる日本人の性質がよく出ているように思います。

 日本に根強いこのような考え方は、社会心理学者のキャロル・ドゥエックによって「硬直マインドセット=Fixed Mindset」と名付けられた考え方です。硬直マインドセットとは「成功できるかどうかは生まれつきの資質や才能で決まる」という発想であり、したがって「才能に恵まれない自分がいくら努力したところで無駄」という考え方です。

 これとは真逆の考え方が「しなやかマインドセット=Growth Mindset」です。しなやかマインドセットの持ち主は、何かにチャレンジして失敗しても「自分には才能がなかった」とすぐに諦めてしまうことなく、改めるべき点について考えた上で「よし、もう一回」とチャレンジしようとします。両者の違いは、しばしば「気概」や「根性」によって生まれるとされがちですが、なんのことはない、「好きでやっている人」は何度失敗してもやり直そうとする、というのが本質なのです。

 本書において何度も繰り返しているように、人生は超長期にわたるゲームなので、才能やセンスよりも「長く努力を続けられる」ということの方が要素としては決定的です。

 特に、これからの世界では、健康寿命の長期化によって、多くの人が70~80代まで働くことになる、ということを考えると、職業選択において、この「長く続けられる」という要件は決定的に重要になってくると思います。