『週刊ダイヤモンド』1月25日号の第1特集は「ホンダ・日産の命運」です。急転直下の婚約劇――。ホンダと日産自動車が経営統合に向けて協議を始めました。両社が統合を急いだ背景には、日産の買収に動いていた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の存在がありました。日産のかつての盟友である仏ルノー、経済産業省、みずほ銀行をはじめとする銀行団、そして日産の経営不振に付け込むアクティビスト――。日産買収劇には多くの利害関係者の思惑が渦巻いており、統合交渉の行方は視界不良です。統合か破談か。波乱含みの買収ゲームが始まりました。
日産の経営危機とホンハイによる買収を回避するという
「守り」の発想と動機で「攻め」の改革をやり切れる?
ホンダ、日産自動車、三菱自動車の国内3社による連合に向けた交渉は波乱含みだ。そんな中で、自動車業界での存在感を増しているのが三菱グループだ。業界では弱小の三菱が再編の鍵を握るようになったのはなぜなのか。
仏ルノー・日産・三菱自の「日仏3社連合」からルノーが離脱し、ホンダ・日産・三菱自からなる「国内3社連合」が結成されることになった。
ホンダと日産が婚約を急いだ理由は、台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海(ホンハイ)精密工業による日産買収を阻止したかったからだ。停滞していたホンダ・日産によるEV(電気自動車)の共同開発に向けた資本提携交渉が一転、経営統合にまで一気に発展した形だ。両社の事業がオーバーラップしていたり、日産の再建計画が不十分であったりと課題は山積しているが、いったんは「同じ将来を描く」という結論を優先させた。日産はホンダの軍門に下る覚悟を、ホンダはジリ貧の日産を抱え込む覚悟を決めたのだった。
それでも、ホンダ・日産・三菱自動車による国内3社連合の行方は波乱含みだ。薄氷を踏む統合交渉といってもいい。