「オールキヤノン」を捨てて他社と組めば
業界再編の起爆剤になれる?
キヤノンメディカルが成長のギアを上げるために必要なのは、国内トップシェアのCTの強化にとどまらない。同社はX線や超音波診断、富士フイルムとシェア争いを繰り広げるMRI(磁気共鳴画像診断)など診断機器を幅広く手掛けるため、各分野での製品力アップが欠かせない。
そこで重要になるのが他社との連携だ。以前から、主力事業のオフィス事業でも「キヤノンは唯我独尊だから他社と手は組まないだろう」(旧富士ゼロックス関係者)と言われている。大手同士のタッグが実現しつつある複合機業界でも大きな提携はせず、自社の技術力や販売力でトップメーカーの道を切り開いてきた。
だが医療機器では、超音波診断でオリンパスと提携するなど、部分的に他社と手を組んでいる。M&Aによって医療機器事業に本格参入したキヤノンは、メディカルのあらゆる分野で「オールキヤノン」を貫くことは難しいのだろう。
医療機器業界に携わる政府関係者は「国内医療機器市場は人口減少による縮小が見えているため、もう一段の再編が必要だ。でも、診断機器大手のキヤノンが同業他社と本格的に手を組むとは思えない」と打ち明ける。国内で高いプレゼンスを発揮するキヤノンが他社との本格提携に踏み切れば、成長途上にある日本の医療機器業界の起爆剤になりそうだ。