ベン・ホロウィッツが教える
「起業家ならイヤでも向き合うべき3つのこと」

 厳しい真実に意味を見出すには次の3つが必要だとホロウィッツは書いている。

 まず、事実をはっきりと正直に言うこと。たとえば、人が抜けてしまったとしたら、その人たちが抜けたのは会社にとっていいことだったとか、その人のパフォーマンスに問題があったとか言い繕おうとしてはいけない。事実を事実と認め、君自身が事実を知っているということを、みんなにもわかってもらおう。

 もし君が問題を引き起こした張本人だとしたら、どうしてそんなひどいことが起きてしまったのかを説明すること。必要以上に事業拡大を焦ってしまったのは、どうしてだろう? また同じようなミスを起こさないためにはどうしたらいいだろう?

 大きな使命を果たすためになぜその行動が必要なのか、自分たちの使命がどれほど大切なのかを説明すること。大量解雇は、もしやり方が適切ならば、会社の生き残りを助けてくれるし、そもそもみんなが目指していた使命や目標を達成するために必要な施策だ。リーダーの仕事は、解雇を無駄にしないことだ。それを何らかのいいことにつなげなければならない。
書影『ザ・ミドル 起業の「途上」論』(英治出版)『ザ・ミドル 起業の「途上」論』(英治出版)
スコット・ベルスキ著、関美和訳

 いいニュースだけに注目して、悪くなっていることから目を背けたり、悪いニュースを伝えたくないという誘惑に負けたりしないでほしい。起業という旅の中では、前向きなエネルギーや希望だけが頼みの綱になってしまう。

 だが実は、うまくいっていないことに目を向ける時間と余力を常に保ち続けることが何より大切だ。定期的に開かれる月次会議でも、オフサイトミーティングでも、メンバーが不安や疑いを共有できるように励ますことはできる。チームが抱える一番深刻な悩みについて匿名でアンケートを取り、結果を公開する会社もある。手法はともかく、チームが耳を傾けるべきニュースをうやむやにしてはいけない。率直に事実を打ち明けて、どうするつもりかをメンバーに話そう。敗北の原因になりそうなところがどこにあるかを知らなければ、勝つことはできない。

 そして、祝う価値のあることを見つけたら、チームに繰り返してほしい行動や進歩だけを祝おう。生産性の向上につながらない賛辞や出来事、たとえば有料のPR記事や自分たちにふさわしくない賞の受賞といったことを祝うのは危険だ。大胆で挑戦的な試みは、実のところマスコミの好みには合わないし、ちょうどいい賞のカテゴリも存在しない。