アメリカでベストセラーとなり、多くの絶賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグはマッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者。この本が指摘するのは、人生を消耗させる「思考の癖」だ。この記事では本書の内容をベースに、「自分らしい生き方を取り戻す考え方」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
![「すぐに白黒つけたがる人」ほど正しい判断ができない納得理由](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/d/670/img_1dd5cfc3b976d34437eaf1d336033f2696995.jpg)
思考の枠組みを広げよう
「仕事とプライベートは完全に分けるべきだ」 「成功するには努力あるのみ」「感情に流されず、論理的に考えなければならない」こうした考え方にとらわれた経験はないだろうか。
確かに、仕事とプライベートの境界を明確にすることは大切だし、努力は成功の要素であり、論理的思考は重要だ。しかし、これらの考え方を絶対視すると、かえって視野を狭めることになる。
ブラッド・スタルバーグの著書『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』は、こうした悩みを持つ現代人に多くの示唆を与えてくれる。
スタルバーグは、思考の枠組みを広げることで、より効果的に問題を解決できると説いている。
二元論から脱却しよう。白か黒かではなく、白でもあり黒でもある、と考える。
(P.31)
世の中には白黒はっきりしているものがあるが、多くのものは白でもあり黒でもある。こうした考え方を非二元論と呼ぶ。
(P.332)
本書では、物事を単純に二元論的に分けて考えるのではなく、多面的に捉えることの重要性を何度も強調している。
私たちは白か黒かで物事を決めてしまいがちだが、現実には、単純な二択では説明できないことが多いのだ。
意志決定を下すのは理性か感情のいずれかではない。その両方だ。
(P.31)
意志決定を下す際には「理性」か「感情」のいずれかに頼るものではない。理性的な考えと感情的な直感の両方を組み合わせることで、よりバランスの取れた決定が可能になるのである。
目標に向かって努力して前進する秘訣は、勤勉か休息のいずれかではない。その両方だ。
(P.31)
ストイックに努力を続けることは大切だが、行き過ぎると心身を壊してしまう。適度な休息を取ることも、長期的に成果を出すためには欠かせないのだ。
「これかあれのいずれか」ではなく、「これでもあり、あれでもある」ということだ。
(P.31)
私たちの行動や選択は、一方向に限定されるものではない。多面的に捉えることで、より柔軟な行動が可能になる。
白か黒かを決めつけるのではなく、その中間に広がる多様な可能性を見極めること。それこそが、賢い選択をするために必要な思考なのだと本書は教えてくれる。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より一部を抜粋・編集して構成しました。