もう1人は知人の孫で、報道志望の青年です。報道志望だけあって、フジテレビが開催した一連の記者会見には厳しい意見を持っていましたが、若者らしい企業で働くことへの夢を感じられる提案をしてくれました。こちらも詳しく紹介しましょう(学生が語った話をそのまま掲載することを、ご了承ください)。

「記者会見のやり方を見て、フジテレビは地に堕ちたと思いましたが、逆に若い力を生かせるチャンスだと思います。フジテレビではないのですが、LCC航空のスターフライヤーで、コロナ禍の渦中にある就活生が、斬新な施策をES(エントリーシート)に書いて、入社後にそれを実現させたと聞いたことがあります。

 当時は、とにかく飛行機に乗るお客が激減し、LCCなどは経営そのものが危ぶまれていた時期でした。そのときのESで、『1万メートルの高空でプラネタリウムを見る飛行計画』というアイデアを出した女子学生がいたそうです。それは経営幹部に高く評価され、入社してすぐ経営陣に呼ばれた彼女は、プラネタリウム飛行の研究を任されました。

 新人ですから、4年上の上司と2人で3年かかってこの計画を推し進め、実際に日本に一つしかない小型プラネタリウムの会社を見つけて、なんと、食事を運ぶワゴン6台に小型プラネタリウムを搭載すれば、全搭乗者が高空でプラネタリウムをゆっくり見ることができるという方法を考えつきました。

 実際にこのプラネタリウム飛行は実行され、何度も満員となる大成功の施策となり、コロナ禍の苦境の中でも同社の赤字を抑える効果があったと聞きました」

フジテレビの面接は通り一遍
学生に本気で「改革案」を聞いてほしい

「私も就活の準備をしているとき、その話を聞いて、『ESって、会社に入るためのものでなく、会社で何かを達成するためのものなんだ』ということを心に刻みました。現在のフジテレビにおいても、このように若手が貢献できることはあると思います。

 もっとも、自分は報道部門志望なので、まだ自信のあるアイデアは浮かんできませんが、普段テレビの仕事をしている人が考えつかない我々世代特有のプランは、募集すればたくさん出てくるはずです。

 通り一遍の面接より、学生も含めて、とにかくこういうアイデアをいっぱい集めることが大事なのではないでしょうか。たとえば、20代がつくる番組ばかりの時間帯を設ければ、CMスポンサーは会社の変化に注目してくれるし、ステークホルダーも『経営トップによる独裁ではなくなっている』と考えてくれるのではないでしょうか」