![ディープシークの衝撃#3](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/650/img_5a8e074d8bc74e109214d1692610e012372597.jpg)
中国ディープシークの登場で、生成AIの勢力争いが乱戦模様となっている。オープンAIやグーグルら米国のIT業界が巨大資金を投じて繰り広げてきたAI開発競争は、中国企業の参入で激変した。特集『ディープシークの衝撃』の#3では、各陣営のAIの利用状況を分析し、最新の勢力図と今後の覇権争いの構図を示す。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
米国勢を脅かすディープシーク
躍進の実態がデータで判明!
生成AIの大規模言語モデル(LLM)の開発で巨大資本を投じて競争をリードしてきた米国のIT業界が、中国の新興企業に翻弄されている。
中国ディープシークは2024年12月、LLMの「V3」を公開した。同社が公開した論文によると、その学習のために要したコストは約8億円とされた。
LLMの学習で使った半導体は、米エヌビディア製のGPU(画像処理半導体)の「H800」。中国への輸出用に性能を抑えたモデルで、それを約2000個使って58日の学習期間で性能を引き出した。
25年1月20日には、最新モデルの「R1」を公開。それがオープンAIの「GPT-o1」に匹敵する性能を出しながら、その学習コストが10分の1以下であることが分かり、エヌビディアを筆頭に米国のAI関連企業の株式急落を招いた。
生成AI業界では、オープンAI、グーグル、アンソロピック、メタ・プラットフォームズらが、巨額資金をかけて性能を争う「米国1強」の構図が続いてきた。だが、中国企業の参入で、その勢力争いに異変が生じている。
次ページで、LLMの利用状況のデータを踏まえ、最新の生成AIの勢力図と今後の覇権争いの構図を示していく。