品質と、作り手としての自分をアピールして
庭先販売やネット販売で固定ファンを獲得

 武ちゃん農場はファンをつかむため、生産方法や品質にもこだわる。農薬は最小限しか使わず、土壌の微生物を活性化させて土を発酵させる八百結び農法を実践する。

 記者は2月中旬に農場を訪れ、ニンジンの収穫作業を見たが、どれもサイズが大きく、試食させてもらうと甘味と香りが強かった(下写真参照)。

ニンジンの収穫作業をする武ちゃん農場の杉浦武昭さん武ちゃん農場の杉浦武昭さん。ニンジンはサイズが大きい。収穫作業の負荷を軽減するため機械化を進めている Photo by H.S.

 味が良いだけではない。武ちゃん農場は毎年、農産物の残留農薬を検査し、「不検出」のお墨付きを得ている。

 食味が良く、安全安心だからこそ、名古屋市など遠方からも農場までトウモロコシやニンジンを買いに来るのだ。

 一般的に、ネットなどの個別配送は、輸送費の高騰で利益を確保しにくくなっている。そんな中で、顧客が農場まで取りに来てくれる庭先販売は究極の販売方法といえる。庭先で直売できることこそ、武ちゃん農場の高い収益性の秘訣なのだ。

 杉浦さんは「お客さんが『また買いに来たよ』と手を振ってくれるのがうれしい。農業がますます面白くなってきた」と話す。

 庭先販売では、消費者が行列を作る。販売を行う農場の倉庫の壁面には、杉浦さんと、前代表でお父さんの武次さんの大きな写真が掲げられている(下写真参照)。

庭先販売での行列。壁面には杉浦さん親子の写真が掲げられている庭先販売での行列。壁面には杉浦さん親子の写真が掲げられている 写真提供:武ちゃん農場

 杉浦さんは、「日本は『つまらない物ですが』と謙遜する文化だが、私は農産物を、自信を持ってお薦めしたい。究極的には農産物の規格は不要で、武ちゃん農場のブランドで売れるのが理想だ」と話す。

Key Visual by Kaoru Kurata