ホグワーツの倍以上
ザ・ナインのハウス数
一方でハウスの数はホグワーツと少し異なります。ホグワーツは4つでしたが、ザ・ナインでは比較的少ないマーチャント・テイラーズ校(図表1-5)でも8つ。さらにウィンチェスター校は10、ハロウ校、シュルズベリー校は11、チャーターハウス校は15、ラグビー校は13のハウスと他に通学生のためのハウスが3つで合計16ハウスがあります。大規模なパブリック・スクールのイートン校になると25(24のハウスと1つのカレッジ)あるので、実にホグワーツの6倍以上です。

現実のパブリック・スクールのハウスは、通常13歳から18歳までの5学年の生徒がそれぞれ10人ずつ、1ハウス50人程度で共同生活をします。ハロウ校などは入学時は2人部屋で、イートン校では入寮した日から個室で生活を送るようになります。
全寮制によって育まれる
「ハウス魂(スピリット)」
ハウスは、パブリック・スクールの心臓部といえます。身体のすみずみに血液や栄養を送るポンプのごとく、ハウスは24時間、教師と生徒、生徒同士の間の緊密な共同生活を支えています。そこで責任感を持ち、規律を守る生徒を育てているのです。そして、ハウス対抗試合やコンテストを通して、「ハウス魂(スピリット)」も養われることになります。
ハウススピリットとは、強靭さでもあります。人格の形成に著しい影響力を及ぼす13歳から18歳までの5年間の寮生活は、人間関係がどのように構築されているかを実体験として学ぶことができ、彼らに生き抜くためのたくましさを備えさせます。そういったたくましさを養う場所もハウスなのです。
そして、強靭さを内に秘め、エレガントで、洗練された、落ち着きある態度を見つけていく一方で、優しさも備えていくことになります。生徒たちは、ハウスの中での人間関係を通して、相手の気持ちを理解し、共感することを体験しながら、心の優しさも身につけていくからです。