誰かに迷惑をかけてはいけない…
自分を犠牲にしていないか

なぜ、休み方がわからなくなってしまうのか。片野氏曰く「その背景にあるのは、画一的ともいえる『真面目に休みなく働くことが美徳』という価値観」。
「近代的な国家を目指した明治時代の富国強兵政策、さらに戦後の復興を労働によって支えてきた先人の苦労を否定するつもりはありません。しかし、そこで根付いてきた、個人よりも組織を重視する価値観のために『誰かに迷惑をかけてはいけない』と自分を犠牲にし、休養を後回しにしている人が多い」
日本リカバリー協会が2024年に20歳~79歳の男女10万人を対象に行った全国調査によると、疲れている人(低頻度、高頻度を合計)」は男性で76.1%、女性で80.4%と、「約8割の人が疲れている」という結果が出た。また、疲労状況は7年前の17年から徐々に悪化し、最新調査では計測以来のピークとなっている(年齢調整あり)。
【疲れている人が8割を占める】
疲れている人が8割を占めている――この調査結果を、片野氏は「休みよりも仕事を優先する“オン至上主義”になってしまい、適切な休み方ができていないため」と見る。
「私たちは、疲れても『普段より多めに眠れば回復するだろう』と、若い頃のやり方をそのまま当てはめています。それでもうまくいかないので枕やマットレスにこだわり始めたりするのですが、30~40歳以降は、そもそも加齢やストレスによる睡眠状態の悪化、マルチタスクによる脳疲労、自律神経のバランス低下など、疲労の質が複雑化しています。ビジネスパーソンは、自身の休み方を根本から見直す必要があります」