すべてがダメだとか、すべてやめてしまおうというのではなく、大切なものは残し、今無駄になっている支出だけを見直しましょうとお伝えしても、「もう少ししたら通えるから無駄ではなくなる」などと言って、夫は自分の支出のすべてを正当化しようとします。
一方、妻は、毎日のように夫から出てくるレシートの清算をしながら家計簿をつけることに負担を感じており、「細かく支出を把握していくのは無理」とあきらめています。夫に家計管理ができていないと言われるのも、「やりようがないので仕方がない、私のせいなんです」と話し、さらに「夫の楽しみを奪うような節約はしたくない」とも言います。夫に従うだけでは上手な家計管理はできませんし、望ましい支出の見直しもできません。妻にも「こうしたい」という意見を持ってほしいのですが、反論しません。
結局、ご夫婦は提案のほとんどを受け入れられない様子でした。家計がダメでお金が貯まらないことに困ってご相談に来たはずなのに、その「ダメ」の原因を何一つ改善する方向に向けないまま、相談が終わってしまいました。
自分の価値観で、支出にメリハリをつける
確かに自分が良いと思っていたこと、楽しみにしていることへの支出を「減らしましょう、見直しましょう」と言われると、面白くないでしょうし、いやな気持ちにもなるでしょう。ですが、その支出が原因で赤字になってしまっているなら、やはりそこに向き合わなければ改善はありません。
人は生きている以上、最低限の生活費のほか、趣味や楽しみ、こだわりなどにお金をかけたいもの。ですからそれは大切にしてほしいと思います。ただ、それがたくさんありすぎるのであれば、その大切なものの優先順位をつけ、支出にも優先順位をつけて「ここまで」という線引きをできるようにならなければ、お金はいくらあっても足りません。
支出のメリハリを、自分の価値観でつけていく。これが、限りある収入をうまく使っていくためのコツです。Bさんご夫婦も少し心にゆとりを持ち、一歩離れたところでご自身の支出の大切さや、大切にするためになくてもよい支出を見つめていただきたかったと思います。お子さんの教育費が必要になるのもあと数年。間に合うように考え直していただけるといいなと思っています。