今、数字上はアメリカは世界で最も豊かな国のトップ10に入っています。ひとりあたりGDPが約8万3000ドルでこれはG7の中では最上位です。一方の日本は世界32位で約3万4000ドル。G7では最下位です。
しかし、トランプ大統領と共和党支持者にはこの状況はそう見えてはいません。
アメリカ合衆国は2つに分断されています。
「いまやアメリカはひとりあたりGDP13万ドルの豊かな州と、ひとりあたりGDPが日本並に貧しい3万ドルの州に二分されている。その平均の8万ドルという数字には意味はない」
これがトランプ支持者の視点です。
その国のひとりあたりGDPは、体感的にはその国の中流家庭の年収レベルと同じだと考えることができます。日本の中流家庭の世帯年収が500万円ぐらい(つまり3万4000ドル)という感覚です。
アメリカではトランプに反対する民主党勢力が強い州は西海岸と東海岸に集中しています。シリコンバレーを有するカルフォルニア州はその典型ですが、そのシリコンバレーでは年収2000万円(つまり13万ドル)ぐらいないと中流の生活はできません。
日本の感覚で年収1000万円というと高給ですが、カルフォルニアではまともな家も借りることができない年収水準です。一方でマクドナルドの時給は州法により最低でも20ドル(約3000円)ですから、エッセンシャルワーカーでも年収600万円近くを稼ぐことができます。物価も高いけど給与も高いから生活は成立するわけです。
問題は共和党支持者が集中するアメリカの中西部や南部です。ひとりあたりGDPが本当に日本並に貧しいかどうかは州ごとに格差がありますが、農業と工業を主力産業とするこれらの州がアメリカ合衆国の中で相対的に貧しくなっていることには間違いありません。
実は私は、これらのラストベルトと呼ばれる地域のひとつにあたるオハイオ州クリーブランド市で賃貸住宅経営をしています。入居者が入れ替わるたびに審査で新しい入居者の個人情報が現地から送られてきます。それを見て私もチェックして入居していただくのですが、そのチェックする資料のひとつに銀行口座の明細があります。