私が所有する不動産がしょぼいからという理由もあるのですが、入居されるアメリカ人の収入はほぼ共通してかつかつで、給料日前に銀行口座の残高がゼロないしはマイナスになります。それでも定職があれば入居審査を通すというのが現実です。ある意味、日本の地方都市もだんだんそんな所得構造になっていくかもしれません。

 だからトランプ大統領はラストベルトの農業と工業にフォーカスして、そこで雇用と年収が増えるように経済を誘導しようとしているのです。

 経済学の知識では、トランプ関税のようなことをしたらインフレで物価は上がりますし、世界全体で経済成長はマイナスになります。世界中の経済学者たちがトランプはバカだと勘違いして警告してきたのですが、トランプが聞く耳をもたなかった。「狙いはそこじゃない」ことに経済学者は気づいていなかったのです。

「4月2日はアメリカの解放記念日だ」

 とトランプ氏は宣言しています。アメリカはこれまで自由貿易の名のもとに世界中から搾取されてきた。アメリカ人が得るべき利益は中国やベトナム、メキシコに吸い取られてきた。トランプ関税はそれを是正するというのです。

 いまのところ中国製品は最大で104%の関税がかかるところまでエスカレートしています。日本製品に仮に104%の関税がかかってしまうと1ドル=74円のレートでしか輸出できない計算です。いくら安くて優秀な中国製品でも、それだったらアメリカ製を買うよという人が増える政策です。

 アメリカでは「いまのうちにiPhoneを買い替えたほうがいいよ」と言われています。なにしろiPhoneは中国製なのですから。それでアップルの業績が悪くなったら世界中で価格の見直しが起きるでしょう。念のため私もiPhone16に買い替えました。インフレはこうして世界に波及します。

トランプ関税がもたらす
既成概念の破壊で日本が変わる

 トランプ視点で「解放記念日」をきっかけにアメリカ経済はどう変わるのでしょうか。経済学の知識をもとに、次のように予測することができます。