「新しいアメリカではこれまで豊かだった州がひとりあたりGDP9万ドルになってしまった。しかしかつて日本並に貧しかった中西部の州ではひとりあたりGDPは5万ドルとドイツ並になった。物価は20%のインフレになったが、中西部の経済成長はそれをはるかに上回る」

 カルフォルニアにスタグフレーションが起きてアメリカ全体のひとりあたりGDPがたとえ7万ドルに縮小しても、オハイオが実質経済成長するならばトランプの勝ちです。

 現実にはこのような勝利はトランプ退任よりももう少し先になるでしょう。経済予測としてはトランプが成功する場合は、トランプの後継者と目されるバンス副大統領が大統領として2期を務めあげた12年後が、このような勝利の到達点となるはずです。

ゼレンスキー大統領が口論するトランプ大統領に加勢したバンス副大統領ゼレンスキー大統領が口論するトランプ大統領に加勢したバンス副大統領 Photo:JIJI

 一方で世界のリーダーたちが期待するようにトランプが敗北して2年後の中間選挙で大敗すれば、この大変革は終わりを告げるでしょう。

 後者のシナリオが日本経済に好ましいことは確かですが、期待に反してトランプ=バンス改革が12年の長期に渡るとした場合に日本はどうすべきなのでしょうか。

 トランプ大統領は日本にもディールを求めています。名指しをされたのは日本がコメを輸入していないことと、非関税障壁のせいでアメリカ車が買われないことです。

 私は日本人としては例外的にアメ車に乗っています。テスラのモデルYです。正確に言えばテスラの上海工場から出荷された製品なのでアメ車と呼んではいけないのかもしれませんが、ここでの論点はそこではありません。テスラに乗っていると確かに関税以外のところで不便を感じるのです。